ハワイのカントリーサイドに居住して25年になる50代の女性です。義両親を見送ってからはアメリカ人の夫と2人で、バナナやアボカド、パパイヤなどの収穫を楽しみにしながら暮らしています。

何かの集まり時には、我が家の果物を手土産にすることも多く、結構、皆さんに評判がいいんです。

先日も夫の友人宅で行われたパーティに、アップルバナナを持って参加したのですが、色彩豊かな和洋折衷のお料理が所狭しと並んだテーブルで、一際、目を惹いたのはお料理の盛られた器でした。

数年前の日本旅行時に友人夫婦が一目で気に入り、購入した錫の食器、「すずがみ」。本日、ご紹介する一押しの伝統工芸品です。

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『すずがみ』とは

メーカーは富山県高岡市で、明治24年創業のシマタニ昇龍工房。寺院用専門に読経時に音を鳴らして使用する仏具の一つ、りん(けいす)の製造が代々継承された家業です。

そこに新しい時代の風を吹き込んだのが、新たに立ち上げたブランド「shouryu」による「すずがみ」と命名された器なんです。材質は錫

100%。熟練の職人が金槌で叩く、いわゆる鍛金の技術で一つ、一つ、繊細な模様を手技で金属板に作り上げてゆく製法です。現在、販売されているのは、「かざはな」、「さみだれ」、「あられ」の3種類の素敵な名前の商品。

それぞれ金槌の槌目模様は、晴天時に舞う花びらのような雪、残った長雨の雨あと、打ち付けたような氷の粒と、日本の美しい気象現象をイメージして制作されています。

形状は四角で薄さは何と1.0mm以下。2013年2月に発売した当時のサイズ(13cmX13cm)に、SSサイズ(11cmX11cm)、Mサイズ(18cmX18cm)、Lサイズ(24cmX24cm)が新たに加わり、用途などの選択肢の幅が広がっています。

折り紙のように自由自在に形を作れるところが好き

折り紙のように曲げたり、伸ばしたり、丸めたりなど、自由自在に自分の好みで形作ることができる点がすずがみの一番の魅力です。

サイズによっても工夫次第で利用価値が更にアップするすずがみ。

そのまま使ってもいいですし、丸めて立てると花器に、4隅を折って盛皿や取り皿に、また、お酒の器やつまみ入れ、うねりを出してちょっとしたアクセサリートレイに、小さなサイズだと箸置きやお香立てなど、それぞれのアイデアでオリジナルのアイテムが簡単にできてしまうのは驚きです。

また、曲げたり、折ったりしたすずがみは、“ころ”と呼ばれる専用の木の棒も一緒に販売されていますので、これを利用して転がすと、元の平ぺったい器の形に戻ります。

この不思議なすずがみの秘密は、金属加工技術の一つである鍛金の熟練職人が持つ卓越した手技にあります。

錫の金属板を金槌で叩くことで重なり合った金属層は、繊維状となって強度が増します。そんな工程を何度か繰り返し、曲げ伸ばしによる劣化を徐々に軽減していくのです。

その結果、生み出されるのが独特の軽快な曲がりと滑らかな伸びを持ったすずがみという訳なんです。

電子レンジ・食洗機に使えないところが欠点

デメリットは3つ考えられます。

1つ目は矢張り、各サイズごとの税込み価格が高目だと言うことです。

例えば、Sで2,700円、SSで2,160円、Mで5,400円、Lで9,504円なんです。1枚当たりですからね、テーブルウェアとして利用する目的であれば、それなりの枚数で揃えたいとは思いますが、良質なものだと分かっていてもすぐに決められないのがネックです。

2つ目は温める、冷ますなどの点でデメリットがあります。国際温度定点で錫の沸点が約232.0°Cと低く、器ごと直接、火にかけたり、電子レンジで温めたりすることができません。

熱い温度では錫が溶けてしまう可能性があるんです。ですので、高温の揚げ物や熱過ぎるお料理なども、少し冷ました後ですずがみに盛る方が無難です。

また、蓄熱量が高く、すずがみなど錫製の器を冷蔵庫で長時間保管すると、持った際、手が凍り付き、凍傷になる危険性もあります。

3つ目ですが、柔らかく、傷つき易い特性を持っているため、食洗機や乾燥機、或は落とすなどの強い衝撃や、圧力で簡単に変形してしまいます。

あらゆる人へのプレゼント・贈り物に対応できる

すずがみの素材は、錫の純度100%です。不純物を含有しない100%の錫は元々、扱いが難しく、高度な加工技術が要求されるものなんです。使用するには、100%の錫に1%の銀や銅を加えて硬くし、扱い易く、加工性の高いものにしなければなりません。

しかし、すずがみは一切、その方法には依存せず、熟練職人の手技だけで回転させたローラーの間に金属を通し、板状に加工したり、金槌で叩いたりするやり方で折ったり、曲げたりすることによって発生する金属疲労の度合いを軽減しています。

りん製造の伝統技術を守り続けている専門の職人は日本で僅か10人。その内、4人がシマタニ昇龍に在籍し、りんのみでなく、すずがみの制作にも携わっているんです。

そんな職人が仕上げるすずがみは、金属の中でも変色し難く、日常的な手入れが非常にし易い器と言えます。

柔らかいスポンジを利用して中性洗剤で優しく洗ったあとは、しっかり水滴を拭き取って終わりです。金属臭さも皆無。

イオンの力を最大限に発揮して水を浄化する作用がありますから、特にお酒などはまろやかさが増し、舌あたりがよくなるようです。

また、強い腐食作用で、すずがみを切り花の器に形作って利用すると、水がいつまでも新鮮でお花が長持ちする利点があります。

外面の錫製独特の質感ですが、購入当初の艶は少しずつ失われていくものの、金属磨きや重曹などの利用で容易に光沢が戻るのは嬉しいですよね。

あおがねと呼ばれる錫は金(こがね)、銀(しろがね)、銅(あかがね)、鉄(くろがね)と共に、「五金」の一つに数えられ、錆びたり、朽ちたりしないため、大変重宝された時代もあったんです。

その特質から今でも、繁盛や繁栄を願う縁起物の贈答品に取り上げられ、結婚のお祝いや引き出物、結婚記念日、お誕生日などの各種お祝い品、海外へのお土産や贈り物に、すずがみなどの錫製の器は特別な日に欠かせない一品として選ばれ続けています。

まとめ

すずがみの器についてお伝えしました。錫製の器などには鉛が含まれ、そこから溶け出した毒性の物質が飲み物や食べ物につくのではないか、そんな危惧やイメージがそれまであったのではないでしょうか。

そんな心配は無用で、日本の食品衛生法では、鉛などを含有した合金は口に触れる器の素材として認められていません。すずがみなどの錫製の器は、安心して日常的に利用できるものなんですよ。そんなすずがみを手に取ると、伝わって来るのは確かな職人の手技です。

忙しい時代だからこそ、身近に置きたい温もりのあるアイテム。その日の気分でどうにでも変形自在なすずがみは、気分転換を促し、ストレス発散にも効果がありそうです。是非、選りすぐりの一枚で、その良さを実感してみてください。