学生の頃のサークルで初めて能を舞うという機会をいただきました。

現実とはかけ離れていながらも見ていると吸い込まれるような世界観がある古典芸能の一つだと思い、気づけば自分も舞台に立って舞を舞っているという状況になっていました。

能楽(のうがく)は大変お金のかかる文化ですので、文化人やお金持ちの人にしかなかなか触れる機会はないとおもいます。

基本的な内容や魅力などを伝えていけたらと思っています。

SPONSORED LINK

舞囃子・仕舞が能楽の演目の見どころ

能楽の歴史は猿楽だった当時の娯楽を観阿弥世阿弥の親子によって超一流の文化となることからスタートしていきます。

当時の権力者足利氏に庇護されて能楽は大成されていきます。

観世流・金春流・宝生流・金剛流の大和四座など色々な流派、演目がありますが、舞囃子(まいばやし)・仕舞(しまい)が演目の見どころになってきます。

演目の流れによってテンポが大きく変わる舞囃子

舞囃子(まいばやし)は形はどの演目もほぼほぼ一緒ですが、テンポが何種類かに分かれていて、とんでもなくはやいリズムから、恐ろしくゆっくりな速さなど演目の流れによってものすごくちがってきます。

幽玄の世界観漂う演目ならば一足一足のはこび手の動き、指の動きまでスローモーションで見ているようです。

しかし舎利という演目は見ているほうもハラハラするほど動きが飛んだり跳ねたりの大騒ぎな演目でこれも能楽なのかとおどろくほどのスピード感があります。

能楽は今なお進化しながら脈々と受け継がれていっています。

きらびやかな世界、見るのにも演じるのにもお金はかかる

デメリットはなんといっても言葉のわかりにくさではないでしょうか。

何を言っているのかわからずおまけに顔につけている面のせいで、声はくぐもるとなればそれはそれは聞き取りにくいことひとしおです。

演目ごとにセリフをかいた本も販売されているのですが、和綴じ(わとじ)本で高級です。

とてもあれもこれも手が出るものではありません。

チケットも高い

また、チケットも高いです。

学生の間は学割金額だったのでまだ何とか見に行けることもあったのですが。

演じるとなると、1つの演目で100万年が軽く飛ぶ

また、演じるとなると破格の金額がとびかいます。

一つ演目をするのに100万円は軽く飛んでいくそうです。

舞台料、衣装料金、笛や太鼓の先生方へのお礼、地謡の先生、ワキの先生、など数え上げればきりのないほどご祝儀を持て走らないといけないそうです。

お金によほど余裕のある方でないと舞うことはとてもできないと思いました。

きらびやかな美しい世界が魅力的

とにかく高級な世界ですが、そのきらびやかな美しい世界こそが、能楽の一番の魅力です。

演目を見ながら「シテ(主人公)」の動きに注目することはもちろんですが、身にまとっている衣装の美しさは琳派の絵を目の前で見ているようです。

音楽や衣装の美しさも見どころ

衣装は美しいですし、一着一着長い歴史をもっているそうです。8月の暑いころ小道具衣装を一斉に虫干しされるようです。

音楽はオオカワ・ツヅミ・フエの三つの音響を基本としています。オオカワのカーンカーンとなるおとが響くとリズムをとるようにツヅミのカンカンなる音が軽快です。

笛の音色は一音響くだけでタイムスリップしたかのような感覚になります。それぞれシンプルな作りの楽器です。でもどれ一つかけても音響が成り立たないのがすごい見どころだと思います。

時代を超えて共感できる内容

歴史も古いものですから、今の生活している時代とは、状況もまったく違います。

しかし、命のはかなさ、男女の恋愛、ねたみ、嫉妬など今と変わらない人の心のありようを描いているところに時代を超えながらも共感できるところが素晴らしいところだと思います。

般若のお面はすべて女性!でも面をつけてるのは男性?

面もさまざまあります。有名な般若のお面は女性と決まっています。男性のお面にあれほどの形相のものがないのがなんとなくうなずけます。

女性のお面をつけているのに中で待っているのは少々小太りのおじいさんということがよくあります。

おじいさんと書きましたが、だいたいこういう人たちは人間国宝級の先生方です。

お面が本当の顔のように見えてくる

男性が舞っているのに女性の面をつけて、指をきれいにそろえた手を面にあてれば、さめざめと女性がなく姿が映し出されます。

また、顔の角度のほんのすこしのかたむきで、面の光の反射が変わり、喜んでいるようにも見えます。

それに、おじさんの顔にちょこんとついているだけのお面が途中から本当の顔のように見える時もあるから不思議です。

リズムの心地よさも魅力のひとつです。

私が好きな演目は「海女」

内容はあげればきりがないほど、驚くほどに日常的です。時代設定や幽霊になった主人公が現れるというところは現代とはかけ離れていますが、描かれている人の感情は全く今と同じです。

男女間の思いのやり取りなどはワイドショーを見ているようなものもありますし、人の嫉妬のために夫が殺されて妻が死んでなお無念の思いを持っているもの、平家物語の平氏の怨念が亡霊として現れる話、祝福を舞う高砂、などあります。

その中でも、私が一番好きな演目は「海女(あま)」です。

「海女」のストーリーは?

けなげな女性が好きな男性のために海の底の龍の玉を命をかけてとってくるというあらすじですが、けなげなようで、しんのつよい女性が大好きです。

ほぼすべての演目は死んだ主人公が仮の姿にこの世にあらわれて生きているときには伝えきれなかった自分の気持ちを通りすがりの僧侶に話して成仏させてもらうというものです。こういうわかりやすい流れも好きです。

時代を超えて楽しめる「能楽」

能楽の魅力やデメリットについてかいてみました。

衣装の美しさや、大和四座の舞い方の違いを見比べる面白さもあります。

知れば知るほど面白いのですが、時代の古い言葉使いや舞の形の知らないことなどで見る人も少なくなるかもしれません。

能の栄えるころは時代が豊かで平和な頃です。しかし、演目の内容をみれば現代人と変わらない人の気持ちが描かれています。

今の日本人でも楽しめるのが能楽の魅力です。

海外の人と話すときの話題にも使える

今は世界中で演じられていますが、日本人ももっと日本の文化に目を向けて、少しぐらいは海外の人に話せるようにならないといけないのかもしれませんね。海外に出向いたときに日本の文化の話題として取り上げることができるのも魅力的な部分だと思います。