私たち1960年代前半生まれは「オタク世代」と呼ばれ、どの趣味のジャンルでもマニアックに走りがちです。

そんな中で、もともとテレビっ子でお笑いやバラエティ番組が好きだった人間の多くは、現在落語にハマっています。

落語というとメジャーな趣味のように思われがちですが、ほんの最近まで10代の若い人たちは見向きもしなかったジャンルです。

そしてネットで最近落語が好きになった人たちも、本来の落語のホームグラウンドである寄席は未体験という人も多いと聞きます。そんな人たちのために、寄席の良さをお伝えしたいと思います。

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寄席とは?

寄席というのは平たく表現すると、興行主が芸人さんを雇って落語や漫才などの演芸を一年中ずっと常打ち興行する建物です。

たまに地方都市で催される落語会が「〇〇寄席」という看板を掲げていますが、実際に「寄席」と呼ぶのは単発でなく興行のみで経営している建物に限ります。

そのため、寄席業界では他と区別する意味も込めて、常打ちの寄席のことを「定席(じょうせき)」と呼びます。

東京には4つの定席

現在、東京には上野・新宿・浅草・池袋と4ヶ所の定席があります。

この他にも、国立劇場に併設された演芸場が月に20日寄席形式の興行をしています。両国・上野広小路・日本橋でも貸しスペースを使って月20興行前後開催しています。

(吉本興業の主催する寄席が東京・大阪にありますが、ライブ演芸と新喜劇が中心で、前記の寄席興行とは少しシステムが異なりますのでここでは触れません)

寄席の3つの魅力

寄席の魅力を挙げるとすれば、大別して3種類に分かれるかもしれません。「空間の魅力」と「ライブ芸の魅力」、そして「発見のの魅力」です。

空間の魅力

「空間の魅力」を紹介するのに最も適しているのは、新宿にある寄席、新宿末広亭です。

新宿三丁目の繁華街を中に入ると、ドーンと現れる異世界のような建物。中に入ると、時代が逆流したかのような和風の造りと、奥に広がる明るく照らされた高座。

ビル街に佇む不思議な異世界空間の中で楽しむ数時間は、きっと一生モノの記憶として残るはずです。

ライブ芸の魅力

「ライブ芸の魅力」は、お笑い好きな人ならライブステージで経験があるかもしれません。

あるいはコンサートやフェスなど、自分も体を動かして能動的に楽しむイベントが好きな人は多いでしょう。

しかし寄席に繰り広げられる落語や演芸の高座は、体を動かすことはしない分(動かすとしても拍手ぐらい)、芸人さんの話芸に自分から進んで没頭してイマジネーションしてゆくことで、大いに楽しめます。

発見の魅力

さらに発見に関しては、とにかく一度寄席に足を運んでみることから始まります。固定観念のある人は特に。発見だらけの世界ですから。

出演する芸人さんによって当たり外れがあるのは事実

前にも書きましたが、寄席はほんの最近まで、若い人には鼻もひっかけられない世界でした。

古臭い、つまらない、おじいさんばっかり出てる、等々の印象です。事実、15年ほど前まではその印象の強い空間ではありました。

また、落語が好きな人でさえ「落語ならネットで無料で聞けるのに、寄席で高い入場料を払って入る意味がわからない」という考えの人もいます。これは寄席という空間を経験することでかなり印象が変わるようです。

さらに、出演する芸人さんによって当たりはずれがあるのも事実です。

また寄席特有の「代演」というシステムに泣かされることもあります。「代演」とはお目当ての芸人さんが休演し、代わりの芸人さんで穴を埋めることで、これは当日になってもわからない場合がままあります。

近年は寄席の公式サイト等で告知されることが増えましたが、寄席初心者は急な「代演」に結構ガッカリするものです。

好きな芸人さんの追っかけを始めるのが、馴染むのに手っ取り早い

寄席で落語を聞くことは、慣れるまでは客席で周囲が気になったり、落ち着かないものです。しかし慣れたらこっちのものです。

寄席にいち早く馴染むには、まず好きな芸人さんの追っかけを始めるのが得策でしょう。

きっかけはなんでもかまいません。情報誌で表紙を飾ってたとか、イケメンだったとか、たまたま聞いた落語で爆笑して気に入ったとか、なんなら同い年だったとか、着物が素敵だったなんてことでもよいでしょう。

気に入った落語家さんの寄席への出演情報は、現在は所属団体の公式HPや本人のブログ、SNSアカウントをチェックすればすぐわかります。

追っかけをしているうちに、素晴らしい高座に出会える

そして、その落語家さんを追っかけているうちに、次々に新しいタイプの芸人さんとの出会いが増えます。そこから追っかけてゆく範囲が広がってゆくのです。

さらに、追っかけてゆくうちに、自然とそれぞれの寄席の違いも分かってきます。客層の差、空気感の差、最終的にはそれに呼応する高座の芸人さんたちのノリの違いまで見えてきます。

そしていろいろな情報を体感してゆくうちに、「すばらしい高座」に遭遇する機会がきっと来ます。これこそが、寄席を知ってゆく中で見つけられる最大の宝物なのです。

地味な芸人さんがある日突然ピカッと光り出す瞬間に遭遇するかも

名人と呼ばれる落語家さんならばその確率は高いでしょう。しかしそれだけではなく、中堅の比較的地味な芸人さんがある日突然ピカッと光り出す瞬間に、もしかしたら遭遇するかもしれません。

数多く寄席に通う人たちの多くは、誰しもその瞬間に遭遇した経験を持っていますし、今後もその瞬間を心待ちにして、寄席に足を運ぶのです。

寄席でしか見られない芸の数々も楽しんで

ここでは主に落語のことを多く書きましたが、寄席初心者の方々は「色物」と呼ばれる落語以外の芸に食いつく人が多いようです。

テレビではあまりお目にかかれない、寄席でしか見られない芸の数々も、ぜひ楽しみにお越しになってください。

まとめ

落語ブームと言われだして10年ほど経ちます。その落語のホームグラウンドが、東京に4つある寄席の定席です。

寄席という独特の空間で楽しむライブ芸の魅力は、ネット動画では決して味わえないものです。

また、知っていそうで知らなかった新たな発見にも満ち溢れているのが寄席の世界です。

最初はどうしても気後れしがちですが、まずは手始めに誰かお目当ての落語家さんを追っかけて、寄席通いを初めてみませんか?

そうすればあなたも、気がつくと寄席通になっているかもしれません。